2007年 10月 21日
サファリ-279 アフリカの記録-27 |
二人の兄弟の父は Kristongaya といった。
私は丁寧に敬愛を込めた挨拶をし、
アルーシャからドドマまでを独りで歩いている事を話した。
彼は年配者を敬う挨拶をされたことを喜び、
これまでのサファリはさぞ大変だったろうと、
今夜はぜひ我が家に招待したいと言ってくれた。
彼はでこぼこ道の脇に立つ蟻塚の丁度良い塩梅の
膨らみに腰掛けて、
「もうすぐ“ガリ”が通る。」
と言った。ガリとは、スワヒリ語で車を意味したが、
アフリカを走る全ての車は“ガリ”という
音の響きのイメージにぴったりだった。
ガリは1時間ほどして向こうの山の峠より真っ赤な
土煙を巻き上げながらのろのろと歩いて来た。
アフリカの道は時化た海の大波小波のように
ひどくでこぼこなので、車は危険な陥没を避けながら慎重に、
しかし豪快にのし歩いてき、遠くのはじめの土煙が見えてから
ようやく20分くらいして私たちが並んで座る蟻塚の前まで辿り着いた。
車はイスズの10トンほどの、怪物のように荒れ果てたポンコツで、
幾歳月もの間険しい岩と砂の道を歩き抜いて来た
誇りと貫禄を携えた老兵のようなトラックだった。
溶接によって幾重にも頑丈に補強された荷台の上には
機械のパーツらしきスクラップと10人ほどの老人、若者、子供を乗せていた。
南の方角を目指している点では共通し、
しかし皆がそれぞれ別の目的地に向かう他人同士のようだった。
しかし不思議と彼らは仲の良い家族のように見えた。
by utyuuinu
| 2007-10-21 01:19
| 旅