2007年 09月 29日
サファリ- 262 宇宙へ-2 |
男が宇宙から帰ってきた時には、病気の母はすでに死んでいました。
3日間男は泣いて過ごし、4日目の朝に母が埋葬されている墓に行き、
墓を暴いて腐りかけた母を抱き起こして言いました。
「宇宙に還ったはずなのに、お母さんはどうしてここにいるのですか?」
「ここが宇宙だとしたら、なぜお母さんは‥‥‥」
「俺は自分が見たものしか信じないぞ!」
男はそう言って母を抱き上げ森に行き、
森の木を集めて小山を作り、
その上に母を乗せると火を放ちました。
火はみるみると母を包み
大きな火柱となって森の天を焦がしました。
木が全て燃えたあとに男が行ってみると、
そこには真っ白いちいさなまあるい骨がひとつ残されていました。
柔らかな灰に包まれて、それは卵のようにも見えました。
by utyuuinu
| 2007-09-29 03:43
| 旅