2007年 01月 07日
サファリ-73 職人への挑戦状 |
渡辺工場長 様
あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。
5日着で手摺のサンプルを発送いたしました。
完成の状態でタップ溶接にて組み立ててあります。
サンプル制作にあたり、検証、採寸などをするために、
胴体と手足の溶接部分は切り離していただいて構いません。
まずはこの作品をいろいろな角度からじっくり観察してみてください。
人間が肩をすくめ、力を込めてバーを持ち上げている動きの感じ、
足を前に出し、大地を踏み締めている感じ、
全体から感じる少しユーモラスな、親しみを感じる動きの感じ、
しなやかで繊細な線の造形‥‥‥。
昨年に送らせていただきました図面では、実はあまりにおおざっぱすぎて、
私がいかなる物を望んでいるか、お伝え出来ないと判断し、
実物を見て頂きたいと思った訳です。
作品は全て、この手足のパーツの微妙なカーブによって表現されます。
これは、全て数学的な寸法によって実現できるはずです。理論的には。
しかし、完璧にこの微妙な形を機械で量産するシステム(金型)を
作り切るのは並み大抵の事では無いと理解しています。
恐らく、金型をサンダーでひと削りすれば曲りの角度は先端の方で
大きく変わってくると思うし、何度試しても
これと全く同じものを作るのは不可能でしょう。
そこで私が切にお願いしたいのは、パーツを解体する前に、
この全体の持つ雰囲気を、これに携わる全ての職人さんに見て、感じていただいて、
上記にあります「感じ」を再現するために、どのような工夫を
制作の中に盛り込んでいくかを検討していただきたいです。
作る者に感性が無いと、この製品は命を持たないものになってしまいます。
恥ずかしながら、我が千葉県の曲げ屋はどいつもこいつもことごとくダメでした。
「うちは工業製品を作っているのであって、芸術作品を作っている訳ではない。」
やる前からさじを投げてしまうのです。
私は、この試作品と寸分違わないものを作れと言うのでは無く、
限られた予算の中で、もうひと削り、もうひと押し、‥‥
という、職人のこだわりと誇りを持つ方々と仕事がしたいと願っております。
その心意気を持って、精一杯やっていただいた製品には、
必ず魂が宿ると信じているのです。
そうして完成した手摺は、幼稚園の子供達をこれから長きにわたり
優しく育んでくれる事でしょう。
どうか、この私の気持ちを汲み取っていただき、
皆様で試行錯誤していただいたサンプルを
9日にいただける事を心待ちにしております。
何卒宜しくお願いいたします。
尾崎 悟
by utyuuinu
| 2007-01-07 03:57
| 職人