2007年 10月 03日
サファリ-264 アフリカの記録-17 |
遠吠えはサファリの道程ではいつでもどこでも聞こえていた。
夜の風に乗って動物の営みが聴こえてくるのは心地よかった。
動物園は檻の中だけが動物の世界、檻の外は人間の世界。
しかしここは違う。
動物の世界の中に人間も共存している世界。
なるべく出会わないように水が豊富な地域を避け、ブッシュや密林を避け、
人が住む地域を縫うように進んできたつもりだった。
薪の火をかざして平野を見渡すと、
そこにはおびただしい数の目が一直線に光って列び、
瞬きもせずに私を見つめていた。
私の肉を欲する目。
しかしその純粋な目の光に、どこか迷いを感じた。
それは恐れの目だった。
ヤツ等も私を警戒している。
勝てるか?
どれほど強いヤツか。
離れてガンを飛ばし合い、
一向に距離は縮まらなかった。
若い頃の経験を思い出していた。
ケンカに勝つための必須条件
決して目をそらさない。
先手必勝。
先手?どうやって先手を?
朝になるまで焚き火を燃やすだけの薪はなかった。
火を落とした時が勝負
火が落ちる前にテントに入った。
暫くすると彼等は徐々に距離を縮め、
焚き火がほとんど消えかかった頃、
遂にテントの回りを取り囲まれてしまった。
この薄いナイロンの壁の向こうに、
俺の肉を喰おうとしているやつがいる‥‥‥
腰が抜けて動けなかった。
息を殺し‥‥‥
息を殺し‥‥‥
サバイバルナイフを握りしめ、
気合いを入れる。
「大和魂。来るなら来い。」
腰を抜かしながら!
by utyuuinu
| 2007-10-03 01:16
| 旅