2007年 04月 04日
サファリ-137 月旅行-11 |
炎は、「こっちにおいで。」と囁きましたが
一寸考えて、小ねずみは我慢する事にしました。
何故かというと、これほど恐ろしい炎なのに、
それを外からいつまでも見つめていたい気がしたからです。
炎が何を意味するのか、子ねずみは薄々解っていました。
それは自分の心だったのです。
ぱちくりの隙間からは絶え間なく涙が溢れ、
泉はどんどん広く、深くなって行き、しまいには
大きな海になってしまいました。
子ねずみは波に漂いながらずっと蒼黒い炎を見つめていました。
波の揺りかごは彼を優しく揺らし、慰めているように見えました。
by utyuuinu
| 2007-04-04 00:33
| 作品/本流