2006年 12月 08日
サファリ-52 魂 |
察する力こそ、芸術に命を与えるものと思います。
「どうしたの?元気ないじゃん。」
この言葉を発する力のある者は創造的です。
「もしかしたら元気がないかもしれない」と、疑いの目で観察しなければ
決してキャッチすることのできない幽かな信号。
小さく小刻みに震える髪の毛の先を見逃さずに、それほどそいつに頓着し、
俺が守ってやると絶えまなく思っていなければ。
それはわたしにとって喜びであるのです。
そいつが喜ぶ姿を見る事が、わたしの喜びであるのです。
この水滴は悲しんでいる。
それが起こした波紋は悲しく拡がる。
次の水滴。
これは喜んでいる。
だから波紋は幸せに拡がる。
次の水滴は?
その次は?
幸せの波紋と悲しみの波紋の違いは?
そんなスタディーを幾度も幾度も繰り返し、
自分の中が、切実な祈りで満たされたら、
ようやく火床に火を入れます。
1000度の白い炎を見ながら、力一杯ハンマーを振るう。
ヘッドフォンをして、防塵マスクをして、ゴーグルをして、
宇宙人みたいなかっこしてステンレスをバリバリ削る。
出来上がった品物を見てみる。
悲しんでいるのか、喜んでいるのか、わたしにはわかりません。
でも、それを観てくれた誰かが、「悲しい波紋だね」と感じてくれたり、
「幸せな感じがするね」と感じてくれたらそれでいい。
察して観てくれたらそれでいい。
by utyuuinu
| 2006-12-08 11:38
| プロセス