2010年 12月 16日
サファリ-965 都志見セイジという男-11 |
フレンチなのに、何故か日本の美しい風土や伝統や
もてなしの心が、都志見さんの世界の根底に流れている気がして、
料理に限らずジャンルとかカテゴリーというものの
定義について考えていました。
出汁の取り方とかテーブルマナーなどのスタイルはフレンチでも、
食材は日本産のものを使い、日本の心を持った
日本人が作る料理は、何に属するのだろう?
19世紀に西欧でジャポニズムが一世を風靡しましたが、
それは単なるデザインの奇抜さとか、
歴史には観られなかった空間に対する捉え方とか、
そういう視覚的な新鮮さではなく、
その根底には茶の湯の精神、
日本人の気高さ、奥ゆかしさ、見栄っ張り、やせ我慢‥‥‥‥
なところがあって、真実の気持ちをもっともっと
好きな人に伝えるためにはどうすれば良いか、
そういう精神的なところが、考え抜かれ、洗練されて
建築や書や花や絵画になっているということを、
過去に本で読んだことがありました。
それは歴史のお勉強として記憶の片隅に残っていたものですが、
自分がこの歳になり、おぼろげながら感じていること、
謙虚さとか感謝とか真心とか、
そういうものを自分も携えることができたらなぁと、
思い始めて過ごしていたら、
それを体現し、それを自分の表現手段として、
一皿の料理に、作品に高めている男に出会うことができた。
美術に限らず全ての人間は、人生を豊かに過ごすために、
自分は何を纏い、何を食べ、どんな空間に住み、
どんな本を読み、どこを旅し、、、、
について探求し続けますが、
彼の料理を食べて何かを感じたい、学びたい、感動したい、
と考える人は賢者であろうと思う。
願わくば私も、そのような人々に必要とされる作家になりたい。
by utyuuinu
| 2010-12-16 05:19
| 人